委任状・譲渡証・印鑑証明・住民票・戸籍の附票・戸籍事項全部証明書 ほか
この記事のゴール:
「この書類は何を証明するために出すのか?」がひと目で分かる。さらに どの場面で必要になるのか がケース別に整理されます。
※手続きは地域・窓口で運用が違う場合があります。最寄りの運輸支局/軽自動車検査協会で最新を確認してください。
まず前提:普通車と軽自動車で“窓口と書類”が少し違います
- 普通車(白ナンバー):国土交通省「運輸支局・自動車検査登録事務所」で、抹消登録/名義変更を行います。押印は実印が基本、印鑑証明書が絡む場面が多い。
- 軽自動車(黄ナンバー):軽自動車検査協会で返納/名義変更。押印は基本不要(ただし窓口確認推奨)。印鑑証明の提出は無いが、本人確認や同一性確認のために住民票等を求められることがあります。
各書類の“役割”とよく使う場面
1) 委任状(いにんじょう)
- 何を証明?:
所有者(または使用者)が、**手続きを代理人にやらせる権限(代理権)**を与えたことの証拠。 - よく使う場面:
代行業者に抹消登録/名義変更を任せるとき。 - 要点:
具体的に委任する手続き名(例:一時抹消/永久抹消/移転登録)を明記。普通車は実印押印+印鑑証明がセットになることが多い。軽は不要。
2) 譲渡証明書(じょうとしょうめいしょ)
- 何を証明?:
所有権を誰から誰へ移したかという意思表示と事実の証拠(譲渡人・譲受人・車台番号を特定)。 - よく使う場面:
名義変更(移転登録)を伴う廃車や、所有権留保解除後に所有権を移す場合など。 - 要点:
車台番号/譲渡日付/譲渡人・譲受人の名称・住所を正確に。普通車は実印が基本。訂正は二重線+訂正印で。
3) 印鑑証明書(いんかんしょうめいしょ)
- 何を証明?:
押された印影が登録された実印と同一であること。つまり本人の真正な意思による記名押印だと証明。 - よく使う場面:
普通車で委任状/譲渡証に実印を押すとき。所有権留保解除などでも添付を求められる。 - 要点:
発行から3か月以内が目安(窓口指定に従う)。マイナンバーは記載不要/省略のものを取得。
4) 住民票(じゅうみんひょう)
- 何を証明?:
現住所・氏名などの住民基本情報。 - よく使う場面:
車検証の住所と現在住所が違うなど、同一人物であることの確認が必要なとき。軽の本人確認として求められることも。 - 要点:
本籍・マイナンバーの記載は不要/省略版でOKが一般的。住所変更の履歴が必要なら後述の戸籍の附票を使う。
5) 戸籍の附票(こせきのふひょう)
- 何を証明?:
戸籍に紐づいた住所の履歴。過去の住所から現在住所までの移転のつながりを証明できる。 - よく使う場面:
車検証の旧住所 → 住民票の現住所への住所変遷を一気に証明したいとき(住民票だけだと履歴が足りない場合に有効)。 - 要点:
同一人物確認の切り札。氏名変更が絡むなら**戸籍(謄本)**と合わせて使うことも。
6) 戸籍事項全部証明書(=戸籍謄本)
- 何を証明?:
氏名・続柄・出生・婚姻・死亡・分籍等の身分事項全般。氏名変更や相続関係の証明に使う。 - よく使う場面:
結婚/離婚などで氏名が変わった、所有者が亡くなっている等で同一性・相続を証明する必要があるとき。 - 要点:
相続時は除籍謄本/改製原戸籍までたどる場合あり。代替として**法定相続情報一覧図(法務局)**が使えることも。
7)(参考)所有権留保解除
- 何を証明?:
車検証の「所有者」が販売会社・ローン会社のままなら所有権留保解除が必要(=所有権を使用者又は譲渡先に変更する)。 - よく使う場面:
所有権留保の車を廃車・移転する前に解除が必要なとき。 - 要点:
所有権解除書類一式(委任状・譲渡書・印鑑証明書などのセット)を所有者(会社)から受け取る。ここが止まると全手続きが進まない最大のボトルネック。
ケース別:どの書類が必要?早見表
| ケース | 主な目的 | よく使う書類 |
|---|---|---|
| 所有者本人が廃車(普通車) | 抹消を代理に任せる | 委任状(実印)+印鑑証明、車検証、リサイクル券 |
| 所有者本人が廃車(軽) | 返納を代理に任せる | 車検証、リサイクル券、本人確認書類 |
| 住所が変わっている | 同一人の確認 | 住民票(現住所)+必要に応じ戸籍の附票(住所履歴) |
| 氏名が変わっている | 同一人の確認 | 戸籍事項全部証明書(戸籍謄本) |
| 所有権留保あり | 留保解除 | 所有権者の所有権解除書類一式 |
| 名義を業者へ移す | 移転登録 | 譲渡証明書(実印/印鑑証明・普通車) |
| 所有者が亡くなっている | 相続による処理 | 戸籍関係一式(除籍・改製原・戸籍謄本)または法定相続情報一覧図+相続人代表の委任状 など |
| 法人名義 | 代表権の確認 | 商業登記簿(履歴事項全部証明書)、法人印鑑証明、委任状 など |
目安:普通車の実印・印鑑証明はセットで出ることが多い/軽は原則印鑑不要本人確認のみで回ることが多いが、窓口での指示を優先。
取得先・有効期限の“よくある質問”
- Q. どこで取る?
印鑑証明・住民票・戸籍関係は市区町村役場(戸籍は本籍地)。法定相続情報一覧図は法務局。登記簿は法務局(法人)。 - Q. 期限は?
運用上は発行から3か月以内が基本(印鑑証明・住民票・戸籍附票)。戸籍謄本は“最新性”が必要な場面で日付に注意。 - Q. マイナンバーは?
記載なし(省略)で取得。番号入り住民票等は提出不可が原則。 - Q. 押印は?
シャチハタ不可が基本。普通車は実印、軽は不要の運用が多い(要確認)。
実務で詰まりやすいポイント(対策メモ)
- 住所・氏名の不一致
→ 住民票だけで履歴が足りない場合は戸籍の附票で住所の連続性を証明。氏名変更は戸籍謄本で。 - 所有権留保の解除遅延
→ まず販売会社や信販会社に残債照会→承諾書/所有権解除書類。先にここを動かす。 - 委任範囲の書き漏れ
→「抹消登録一切の権限」「移転登録に関する一切の件」など具体的に記入。 - 訂正だらけの書面
→ 二重線+訂正印で直せるが、多いと差し戻しの原因。書き直しを選ぶことも。 - 本人確認書類の旧住所
→ 免許証が旧住所なら住民票を添付。できれば免許の住所変更を先に。
まとめ:書類の“役割”が分かれば、準備は半分終わり
- 委任状=代理権の証明、譲渡証=所有権移転の意思の証明
- 印鑑証明=実印の真正、住民票=現住所の証明
- 戸籍の附票=住所履歴の証明、戸籍謄本=氏名・身分関係の証明
- ケースに応じて組み合わせるのがコツ。迷ったら**用途(何を証明したいか)**に立ち返る。
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この記事は一般的な解説です。最終判断は各運輸支局/軽自動車検査協会の指示に従ってください。
(2025年11月18日公開、作成:三浦敏和)


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