自動車リサイクル法について

廃車
  • 2003(平成15)年1月11日施行(2005年1月1日完全施行)された自動車リサイクル法。正式には「使用済自動車の再資源化等に関する法律」といいます。 現在、使用されているお車の多くが新車購入時にリサイクル料金を預託しているのであまり意識しなくなってしまい、リサイクル法の内容をあまり理解 していない方が増えている印象があります。あらためて「自動車リサイクル法」について、考えてみたいと思います。

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自動車リサイクル法の概要

  • 背景

    国内では、年間で約300万台以上のクルマが廃車されています。クルマは鉄などの有用金属から製造されているため、総重量の約80%がリサイクルされ、残りの約20%がシュレッダーダスト(クルマの解体・破砕後に残るプラスチックくずなど)として、これまで主に埋立処分されてきました。ところが近年、この最終処分場の容量が不足してきたこと、これに伴って処分費用が高騰してきたことなどから、廃車の不法投棄・不適正処理の懸念が生じていました。 また、カーエアコンに冷媒として充填されているフロン類は、きちんと回収処理されないとオゾン層破壊や地球温暖化問題を引き起こす要因となってしまうこと、さらに、エアバッグ類は自動車解体時の処理に専門的技術が必要とされることなどから、これらを適正に処理するため、新しいクルマのリサイクルの仕組みとして自動車リサイクル法が作られました。

  • どんな法律?

    ゴミを減らし、資源を無駄遣いしないリサイクル型社会を作るために、クルマのリサイクルについてクルマの所有者、関連事業者、自動車メーカー・輸入業者の役割を定めた法律です。関係者の具体的な役割は以下のようになっています。

    • クルマの所有者(最終所有者)
      リサイクル料金の支払い、自治体に登録された引取業者への廃車の引渡し。
    • 引取業者
      最終所有者から廃車を引き取り、装備内容を確認してフロン類回収業者または解体業者に引き渡す。
    • フロン類回収業者
      フロン類を基準に従って適正に回収し、自動車メーカー・輸入業者に引き渡す。
    • 解体業者
      廃車を基準に従って適正に解体し、エアバッグ類を回収し、自動車メーカー・輸入業者に引き渡す。
    • 破砕業者
      廃車を基準に従って適正に解体し、エアバッグ類を回収し、自動車メーカー・輸入業者に引き渡す。
    • 自動車メーカー・輸入業者
      自ら製造または輸入した車が廃車された場合、その自動車から発生するシュレッダーダスト、エアバッグ類、フロン類を引き取り、リサイクル等を行う。
  • 対象となる車両

    自動車リサイクル法の対象となるクルマは、二輪車や一部の特殊車両・被牽引車などを除く、基本的にすべてのクルマ(乗用車・トラック・バス)となっています。

  • 特徴

    • リサイクル料金の前払い制
      自動車ユーザーは、使用済自動車のリサイクルの阻害要因となっていた「シュレッダーダスト」「エアバッグ類」「フロン類」の3物品の適正処理に要する費用をリサイクル料金として原則前払いで支払います。 クルマを購入時にリサイクル料金を支払った後、リサイクル料金が支払済みであることを確認した運輸支局等から自動車検査証等の交付が受けられる仕組みにしています。
    • 自治体の登録・許可制を導入
      自動車リサイクルのインフラを担っている関連事業者は、使用済自動車の引取業、フロン類回収業、解体業、破砕業を行う場合、自治体の登録・許可を受ける必要があります。適切な役割分担のもとで、使用済自動車の引取・引渡を行い、そして3品目を自動車メーカー・輸入業者に引渡す役割を担います。
    • 引取・引渡の状況を電子情報で管理
      使用済自動車の発生から、フロン類の回収・破壊、エアバッグ類の回収・適正処理、シュレッダーダストのリサイクルに至る一連の工程を電子情報で確認する仕組みを導入しました。一定期間内に関連事業者による引取・引渡の手続きが行われない場合、当該使用済自動車のリサイクルを行った事業者へ確認の通知を行います。さらに、一定期間経っても手続きがなされない場合、最寄の自治体へ当該事象についての情報提供を行う仕組みにしています。
    • 環境保全を強化
      解体業、破砕業の許可を得るためには、環境保全のための施設要件を守る義務が課されています。具体的には、鉄筋コンクリート床面、油水分離装置の設置等が定められています。

自動車リサイクル法の疑問

  • リサイクル料金っていくら?

    車種によって1台ごとに違います。リサイクル料金は、クルマ一台毎にシュレッダーダストの発生量、フロン類の充てん量、エアバッグ類の個数・取り外し作業時間などから設定されています。

    • 軽・小型乗用車(コンパクトカー)
      エアバッグ類4個、エアコン有りで7千円~1万6千円程度
    • 普通乗用車
      エアバッグ類4個、エアコン有りで1万円~1万8千円程度
    • 中・大型トラック
      エアバッグ類2個、エアコン有りで1万円~1万6千円程度
    • 大型バス
      エアバッグ類2個、エアコン有りで4万円~6万5千円程度
  • リサイクル料金はいつ支払うの?

    新車購入時にリサイクル料金を支払います。 リサイクル料金を支払うと、リサイクル券や領収書が発行されますので、確実に入手するようにしてください。 リサイクル料金を支払ってあるクルマを中古車として売る場合は、次の所有者の方から、リサイクル料金相当額を受け取る権利があります。

  • リサイクル料金はだれが管理するの?

    所有者から支払われたリサイクル料金は、資金管理法人(財団法人 自動車リサイクル促進センター)がお預かりし、廃車となってリサイクルが実施されるときまで、その厳格な管理を行います。

  • 自動車リサイクル法で社会はどう変わるの?

    自動車リサイクル法によって自動車由来の廃棄物が削減されることはもちろんですが、不法投棄車両の撤去など私達の生活環境の改善に繋がります。また、自動車の長期使用や中古部品の活用、環境配慮設計の自動車選択などの取組が進むことにより、資源循環型社会が構築されます。

自動車リサイクル法の罰則

  • 無登録・無許可で使用済自動車(解体自動車)を扱った場合、自動車リサイクル法では1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられることになっています。また、自動車リサイクル法の登録・許可があれば廃棄物処理法の業の許可が不要となる制度であるため、廃棄物処理法の業の許可も持っていないのであれば、廃棄物処理法上の無許可営業として5年以下の懲役又は1千万円以下の罰金が科せられます。
  • 中古のエアバッグは購入しないで

    使用済自動車から取り外したエアバッグ類の再販売は自動車リサイクル法違反です。(PDF)

  • 自身所有の車でも部品取りは違法です

    使用済自動車から部品を取り外す行為(いわゆる「部品取り」)は解体行為に該当します。解体を業として行う者には許可が必要です。ただし、カーナビやカーステレオといった付属品を取り外す行為は解体行為にあたらないと解釈されますので、解体業の許可は不要です。

索引